IT企業への転職とともに熊本県人吉市に移住してきた稲橋さん。移住から1年も経っていない中で、地域の方を巻き込んでさまざまな活動をしています。稲橋さんがどのようにして地域の人を巻き込んできたのか、今回はそのコツを話していただきました。
稲橋 亮佑さん
埼玉県所沢市出身。バーニーズニューヨークに新卒入社し、その後株式会社マイナビに転職。2021年7月より熊本県人吉市に移住。移住と同時に東京のIT企業である株式会社レッジの人吉サテライトオフィス第1号社員として参画。現在は「テクノロジーによる地域活性化」を軸とした事業に従事し、慢性的な人材難や地域特有の課題に地元民として向き合っている。その他、YouTuber(ねばぎばch)として動画や写真撮影・編集も行うマルチクリエイターとしての顔も持つ。
稲橋さんは埼玉出身なんですよね?
なんでわざわざ熊本の人吉まで来ることになったんですか?
高校までは地元所沢の小中高に通って、大学から横浜で一人暮らしを始めた。大学を卒業してアパレル業界に就職をして、最初は東京で働いていたけど、毎日同じ環境で過ごしていて、そこにそんなに面白みを感じなくなってきたところもあって。
どうしようって考えた時に、まず環境を変えなくちゃダメだよなと思って、その時に興味があった移住をしてみようと思って転職活動をして、運良く引っ掛かってマイナビという会社に行くことになった。それで新潟の長岡、群馬の高崎を経て、最終的に行きたいなと思っていた博多に配属されることになった。
その後、IT企業への転職を機に人吉に来ることになったわけ。
いろんなところに住んで楽しそうだなぁ!
東京とか博多を経験して人吉に来て、ギャップとかなかったんですか?
良いギャップは町の人が挨拶してくれるから素敵な町だなと思った。小学生とかがわざわざ立ち止まって、こんにちは、おはようございますみたいな。俺自身も挨拶ってものをすごく重要視してるから、そこはバチっとハマった感じがある。
まさに地方ならではの良さって感じですね!
そうね。あとは良いギャップとして、田舎って排他的かなと思ったんだけど、ここに関してはそうでもない。そうでもないし、全くないと思う。
それはもしかしたら俺が会ってる人がそうだっただけかもしれないけど、総じてそういうことを感じることはあまりないかな。だからそこは俺の中ではもっと外様な感じがするのかなと思ったらそうじゃないっていうのは、安心できるポイントかなと思う。
いいこと尽くしじゃないですか!
人吉に来てよかったと感じてますか?
めちゃくちゃ良かったと思うね。それはやっぱりここに住まなかったら会えなかった人にめちゃくちゃ会うことができているし、俺の移住の仕方が特殊。ITで且つ30歳っていう若者で、町の人からしたら30歳の若者がここに引っ越してくるなんてほぼない事例なわけ。
だからみんな俺の事を面白がってくれるし、そこでそいつがYouTube始めたってなったら結構いいトピックじゃん。
ちょっとした有名人みたいです(笑)
都会って情報を受け取る場所なんだけど、情報出してる側の人間もめちゃくちゃいて、都会で情報を出しても有象無象でぐちゃぐちゃになると思うんだけど、同じ情報を人吉でやるだけで、貴重さが違う。
希少性が違うからみんなが面白がってくれるっていうところがある。だから都会でやってることをこっちで出来ると、すごく価値のあることに変わるんだよね。
なるほど!
例えるなら、ここでペットボトルの水を1本200円とかで買うのと、砂漠に行ったらこれを1億円でも買いたい人がいるっていうぐらいの、自分の才能をどこに置くかによるような例え話と一緒で、自分のやりたいことを田舎に持っていったら、もしかしたら価値が2倍に上がるかもしれない部分はめちゃくちゃあって、そういうのは俺はここで体験できてるから、めちゃくちゃ面白いなと思っていて、この街を本気でどうにかしていきたいっていう人たちとも関われてる。
そういった人たちとこれまで関わる経験ってなかったから、そこも刺激的。会う人間が今までとは全然違う、そこも面白いでしょ。
すごいなぁ、自分もそんなふうになりたいです!
率直に、移住をしてよかったと思うことはありますか?
俺は他人の8倍恵まれてると思うんだよね。ちなみに、8は縁起がいいとされている好きな数字なんだけどね。他人と比較することではないんだけど、8倍は俺の方が恵まれてるって思っちゃうくらいこれまでの人生が恵まれてるなって日々思うよね。
移住した場所に同世代のイケている人がいるのよ。すごく恵まれてるよね。今一緒にねばぎばchをやっている祇園下もそうだけど、周りをつなげたくて、この地域のためになることをしたいって人が同じ環境下にいるって超心強いじゃない。
っていうのが結構各土地であって、博多でもいるし群馬でもいるし、新潟でもいるのよ。そういうのが俺にはある。
うらやましい、自分もそんなふうになりたいです!!
どうしたら稲橋さんみたいになれますか?
縁を自分自身ですごく大事にしてきたから、その人たちもまた人をつなげてくれるし、ある種リピートしてくれるみたいなことはあるかな。
だからリピートしてもらうように役に立つような人でいたいし、それが俺の場合動画とか写真とかITっていうところだと思う。
なるほど、自分ならではの強みが必要と…。
稲橋さんはITスキルが活きたんですね?
それがこの町にとったら必要なスキルなんだろうね。あまりここだとないスキルだからよりみんな面白がってくれるね。
ただ移住したいなあって思う人がざっくり移住して、東京でもできる仕事をこっちで、自然の中でやりたいぐらいでいるのはそれでもいいと思うんだけど、「そこで何かを起こしたい」って言うんだったらプラスαの自分の価値をどう田舎の人たちに提案できるか考えた方がいいとは思う。
それを分かりやすく伝えられないと田舎の人も面白がってくれないから。「何を面白がればいいの?」ってなっちゃうから、それは来て何かを変えたいとか何かを表現したい人だったらその努力はすべきかもとは思うかな。
すごく勉強になりました。
ありがとうございました!
〜ケンジンからの学び〜
同じ能力や強みだとしても、過ごす環境によってその希少性は異なる。自分自身の価値を高められる環境を選択しよう。そして、その環境の中で周囲の人を巻き込むために、自分の価値やできることをアピールしよう。そうすることで周りを巻き込み、興味を持った人がまた新しい人とつないでくれる。